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カブトムシと農業

私が住んでいる九州のど田舎の農村部でも天然のカブトムシの幼虫を採集するのは至難の技です。

実際に私が山の中に入って天然のカブトムシの幼虫を100匹集めて来い、と言われてもおそらく1週間?もしかしたら数週間かかるかもしれません。

ご経験がお有りのお客様もおられると思いますが、天然のカブトムシの成虫は沢山採集できても幼虫はなかなか採集できないという方も沢山おられると思います。

そのくらい天然のカブトムシの幼虫を山の中で採集するのは難しいです。


それじゃー、どこで育っているの?という疑問が出てきます。

答えから言いますと畑や田んぼです。

こんなことを言っても信じるお客様は少ないと思いますが、私達は小さい時から畑や田んぼの脇の野菜の有機栽培用の稲わらや葉っぱ、牛フンなどの有機堆肥の中でカブトムシの幼虫を採集してきています。

実際に近所の畑の脇の有機堆肥を許可を得て掘ってみます。

畑の脇の有機堆肥

畑の脇の有機堆肥

この堆肥をひと掻き掘ってみるとカブトムシの幼虫が出てきます。

有機堆肥の中のカブトムシの幼虫

堆肥の中のカブトムシの幼虫

この様に山の中を探しても見付けるのが困難な天然のカブトムシがゴロゴロ出てきます。

この様にカブトムシは人間の社会活動である農業に順応した生態となっています。

カブトムシは人間の社会活動に順応できる様に進化しています。


そんなアホな!と思われるお客様もおられるかもしれませんが、関東に住んでいる時に面白いことを経験しましたのでお話しします。

実際に私が十数年前に住んでいた「埼玉県川口市東川口」でナイターでのサッカーの練習中に照明によくカブトムシが飛んで来ていました。

チームメイトに「なんでカブトムシが?」と尋ねると川口市は「植木の街」だからと言われました。

当時は植木が沢山有り自然が豊かだから、と単純に考えていましたがもっと奥が深い理由があることに気が付きました。

それは植木を育てるのに大量の有機堆肥が必要だからです。

この有機堆肥の中でカブトムシは育っていると考えられます。

この様に都会のカブトムシも人間の社会活動に順応しています。

しかし、今は東川口も地下鉄も通り、市街化が進みどうなっているか私には分かりませんが。。。


カブトムシと農業などの社会活動の親密な関係はご理解頂けたと思います。

こういう考え方も出来ると思います。

カブトムシが沢山住んでいる地域は、それだけ豊かな農村であるということです。

実際に「カブトムシの生産地」のトップ5を見てみても茨城県など農業が非常に盛んな地域が多いことから容易に想像できると思います。

カブトムシは豊かな農村の指標種(バロメーター)とも言える貴重な存在の昆虫です。

カブトムシはかなり農業に依存した生態へと進化しています。

私が住んでいる地域の農村風景

農村の風景


私はこのカブトムシの農業への強い依存に大きな落とし穴があることに数年前に気が付きました。

農産物の自由化以降、急激に加速し始めた農業の衰退です。

日本の農業は「後継者不足」「高齢化」により農業人口が激減しています。

高齢化された農業では人手不足により有機堆肥を使った農業が出来なくなり「化学肥料による農業」に移行しています。

結果、有機堆肥の必要性が無くなり、同時にカブトムシの繁殖場所も無くなっています。

実際に私の地域でも有機堆肥もほとんど見なくなり、同時に畑の脇でカブトムシの幼虫を見ることもほとんど無くなりました。


農業の衰退により、繁殖形態の「農業への依存」が消滅しようとしています。

カブトムシと農業は「運命共同体」という余りにも悲しい現状があります。

加えて山では竹林の侵出により健全な雑木林が激減してカブトムシが住める場所が少なくなっています。

この様に近年ではカブトムシの生活できる環境が同時に2つとも失われようとしています。


そこで私と弟でカブトムシと農業の両方にメリットがある循環式農業を試みています。

カブトムシの森の中に葉っぱを運んでカブトムシ牧場を作り、そこでカブトムシの幼虫を育てています。カブトムシの幼虫は葉っぱを分解して良質な堆肥にしてくれます。

カブトムシ牧場

カブトムシの堆肥で作った野菜は本当に美味しいです。

甘味とコクが全く別物になります。

画像はさくらんぼラディッシュです。

ラディッシュ

これが一般普及すると田畑の脇で有機堆肥が増え、カブトムシが沢山増え始め、加えて農業には安心安全のおいしい野菜というカブトムシと農業共にメリットがある究極の循環式農業ができます。

近所の農家のおばあちゃんにカブトムシ堆肥をよくお裾分けしていますが、「カブトムシのフンは黄金の一粒」と言ってくれます。少し嬉しいです。古くからの農家の人はカブトムシ堆肥の価値が分かるみたいです。

そんなカブトムシは自分にとって大切なパートナーです。

これが一般普及するとカブトムシも農業も一緒に守ることができます。