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ドングリから『昆虫が集まる森』の作り方

このコーナでは、虫吉が実際に放置竹林を開墾して作った昆虫が集まるドングリの森の様子をご紹介しています。

※放置竹林とは、過疎化によって出来た休耕地が温暖化の影響で急速に竹林に変わってしまう森林環境問題の一つです。

かつての里山の雑木林が放置竹林に飲み込まれた姿を紹介したページです>>

因に現在の里山のタケの殆どが外来種の可能性が高いという事が近年の研究で判り始めています。


2018年4月28日時点の森の様子

写真は2018年4月28日の私たちが育てた森の12年目の様子です。

新緑の季節を迎え透き通る様な綺麗な黄緑色の葉っぱが印象的でした。

今年は、7月に大きなカブトのオスを見掛ける事が出来ました。

オス

2018年7月20日に樹液が出ている細いクヌギで見かけた大きなオスです。

今年は、7月中旬から下旬に掛けて大量の樹液が出ており沢山の個体を見かける事が出来ました。

ミヤマのペア

今年は、猛暑の影響で数が少なかったですが深夜の森でミヤマのペアを見かける事ができました。

例年だと午前中に木を揺すると落ちてくるのですが今年は夜に見かける事が多かったです。

来年(2019年)も森の成長とどんな虫たちが集まって来るか今から楽しみです。


《森作りのあらすじ》

竹林の中

今では、クヌギやナラの木で一杯の森も11年以上前に遡ると人が通り抜ける事も出来ないくらいの荒れ果てた放置竹林でした。

竹伐

この荒れ果てた放置竹林を昆虫が集まる緑の森に戻したいという一つの想いだけで2年以上の月日を掛けて開墾しました。

竹伐(竹の伐採)で指の形が変わってしまうほど大量の竹が生えていました。

竹の再生

竹は切っても根が残っていると直ぐに再生してしまうので重機やツルハシを用いて根を掘り起し、莫大な時間を費やしました。

この様に虫吉では、昆虫や野生動物の住処となる雑木林を再生させる為、苗木作り、そして植樹にチャレンジしています。

自然を人の手で再生させる事は、数十年単位の膨大な時間が掛かり、草刈りや間伐など森の維持・管理や手入れの作業も膨大で大変ですが可能だと考えています。


《ドングリから苗作り〜森に育つまでの紹介》

自然に興味が有ったり、地域や子供達と森づくりにチャレンジしてみたい方達の為に当店が実際に行なっている森作りの様子を紹介して行きたいと思います。



落下した様子

画像は、落下したクヌギのドングリです。

先ず、秋に集める事から始まります。


ドングリ

拡大した写真です。丸くて少し大きいのがクヌギの特徴です。

秋のうちに集めておかないと野生動物のエサになってなくなってしまいます。

※野生動物たちの食料の為、必要な分だけ持って帰って、必ず自然に残しておく様にしましょう。


水に漬け込む

水に浸けて浮かぶ物は、中に虫(通称:クリ虫)が入っていて発芽しないので捨ててください。

残しておくと他のドングリに移って食べられてしまいます。

※長期間保存して乾燥した物も水に浮かぶ事がありますが発芽率が少し落ちる傾向があります。

ヒビがある物は中身の種子が膨らんで出来ただけなので発芽します。(水に沈みます)

約2〜3時間ほど水に浸けてから日陰で半日ほど水を切ります。


水切り

日陰で水切りをします。(これも2〜3時間程度で大丈夫です)

水切りは、カゴやザルを使うと簡単です。


腐葉土と赤玉土

写真は、園芸店やホームセンターで販売されている「腐葉土」と「赤玉土(小粒)」です。

※当店では一般の腐葉土の代わりに、幼虫が作った天然堆肥(ビートルコンポスト)を使っていますが、ここでは入手しやすい市販の物を使って説明します。


培養土作り

赤玉土8に対して腐葉土2の分量を混ぜます。

※腐葉土が多過ぎると水はけが悪くなり発芽後に根が腐りやすくなります。

ここでは、苗木を作る事が目的ですので水はけを良くして根の成長を促す事に重点を置きます。


培養土が完成

苗づくりの培養土が完成しました。

混ぜ終わると、こんな感じになります。


培養土をポットに入れる

写真は解り難いですが、18から20センチの大きさの苗用のポットに上記の培養土を入れますが、ポットの底の穴はネットでは無く石で構わないので土が溢れない様に軽く塞いでください。

※鉢底ネットを使うとネットの網目から根っこが飛び出して根が傷んでしまいます。

土はポットの7から8分目まで入れてください。


ポットにセット

写真の様にドングリを置きていきます。

必ず横向きにしてください。

※理由は、横面から真下に向かって根が出て来るからです。


埋め込む

上から土を掛けて埋めます。掛ける土の深さは2センチ前後にしてください。

※埋め込み過ぎると芽が出なくなりますので注意が必要です。

 

水やりです

最後に水をたっぷり掛けて発芽を待ちます。

但し、毎日水を与えると腐ってしまうので注意してください。

植え付けて直ぐの冬〜春の日照時間が短い時期は外で雨ざらしでも大丈夫です。

時々、観察して乾いていたら水を与える程度で構いません。

※但し発芽後の初夏〜秋は1日置きに様子を見て水やりをしないと枯れてしまいます。

乾燥防止策でポットの土の上にピートモスを少しだけ敷くのも良いと思います。

植える時期は寒くなって害虫が付きにくい11月〜翌3月上旬迄です。


発芽です

上手く行くと4〜5月頃に新芽が出ます。

※土の表面に乾燥防止の敷き材(竹チップやピートモス)を入れています。


若葉です

5月になって梅雨が近付くにつれてドンドン発芽して成長して行きます。


発芽して1ヶ月後

発芽して約1ヶ月後の5月下旬のクヌギの苗です。


発芽して2ヶ月後

梅雨開け間近の7月になると立派な苗木になってきます。(写真左はコナラ、右はクヌギです。)


落葉した苗木

秋以降、寒くなると葉が枯れて落ちてしまいますが、クヌギやコナラ等の木は落葉樹といって寒くなると葉が落ちる種類の木なので心配は要りません。

そして、葉が落ちている状態のこのタイミングが植え付け(地植え)の時期になります。


植え終わったクヌギの苗木

写真では、解り難いのですが中央が植樹が終った苗木です。

年が明けて1月〜3月の寒い時期に植樹をします。(気温が上がると根が弱りやすいです)

植え方は、ポットと同じ大きさの穴をスコップで掘って、ポットから出した苗木を培養土ごと穴に入れて埋め込むだけで簡単です。

※深く埋め込み過ぎると成長出来ずに根が腐ってしまいます。

最後は周囲を足で固めるだけです。


苗木の周囲を踏み固める

しっかりと周囲を固めておかないと地中で根と土の間に空間が空くと枯れてしまいます。


夏のクヌギの苗木

夏になると再び葉が茂って育ち始めます。

そして数年後には・・・


育ったクヌギの木

写真は植樹して2年後の木です。

大きくなり森への第一歩の始まりです。


2011年7月のの森

写真は2011年7月時点で5年目の森の様子です。

あと数年で昆虫がやってきそうな予感がします。


2012年5月下旬の森

写真は2012年5月23日時点で6年目の森の草刈り作業の様子です。

背が高くなり立派な気になりつつ有ります。


2013年9月16日の森

写真は2013年9月16日時点で7年目の森の様子です。

夏になると真ん中の木の低い位置から樹液が出て沢山の小さな虫たちが集まっていました。

青い実

秋が近付くと青いドングリを実らせている木も有りました。

2013年は、写真で納める事が出来ませんでしたが1本のコナラにシロスジカミキリが産卵にやって来て8月頃から樹液が出始めてカナブンやミヤマが集まっているのを確認出来ました。


2014年5月8日の森

写真は2014年5月8日時点で8年目の森の様子です。

新緑の季節を迎え一気に幹や枝が育ち綺麗な緑の葉っぱを付け始めています。

ヒラタのオス

2014年5月25日に樹洞から出ている樹液でヒラタを見掛けました

2014年5月25日コクワのオス

同じく2014年5月25日に別の木でコクワが集まっていました。

8月になると木を揺するとミヤマが上から落ちて来るなど森が育っている事を実感できました。


2015年8月2日の森の様子

写真は2015年8月2日時点で9年目の森の様子です。

一年で最も緑が濃くなる夏の季節なので青々とした葉っぱを茂らせていました。

ミヤマ

昨年より、木を揺するとミヤマが落ち始めていましたが今年は更に沢山の数を見掛ける事が出来ました。

8月2日に実際に木を揺すってみると落ちて来ました。

※画像は、小さめのオスですが7月には、最大で71ミリの大型のオスを採集できました。

来年が益々楽しみです。


2016年8月10日の森の様子

写真は2016年8月10日時点で10年目の森の様子です。

幹回りも太くなり立派な木に成長しました。

枝も太くなり、年々クワガタが集まって来る様になりました。

※森へ採集に出かける事が店長の日課になっていました

ミヤマ

昨年に引き続き、今年もお盆前に採集について行きました。

福岡県福津市は、お盆前から35度を超える猛暑日が何日も続きましたが木を揺すると暑さに負ける事無く沢山のミヤマが降って(落ちて)来ました。


2017年6月1日の森の様子

写真は2017年6月1日時点で11年目の森の様子です。

木が高く伸び枝も大きく育っています。
新緑の季節を迎え綺麗な緑の葉っぱを茂らせています。

今年は、梅雨明け後に度々、カブトのメスを見掛ける事が出来ました。

後から植えた木

数年前に植えた木も順調に大きく育っています。

あと何年か経つと樹液を出せるサイズまで育つと思います。

今年の2月にも新たな苗を何本か植え足したので今後の成長が楽しみです。

2017年2月の植樹の様子>>>


紹介している森も今年(2018年)で12年が経過しました。

ここでは紹介出来ませんでしたが沢山の昆虫達が集まって徐々に本来の生態系が作られ始めたのを年々感じる事が出来ます。

来年2019年は、どんな生き物が集まって来るのか今からワクワクしています。


実際に森づくりを行なってみて気付いた事は、木が育つにつれて周囲に色々な植物が生え、色々な生物が集まってくる事です。

特に初夏〜夏は虫たちの楽園になります。

2018年10月4日
T.Ozawa
H.Ozawa