菌糸ビン→マット飼育への切り替えタイミング
クワガタは、菌床ブロックや菌糸ビンというエサの出現で大型個体が育つ確率が飛躍的に上昇しました。
一方で栄養過多や交換タイミングの関係で無駄に交換回数だけ増えてサナギになれないケース(通称、セミ化)や気門が壊死してしまい途中で死んでしまったりするケースが多くなったのも事実です。
幼虫は、腸内細菌(善玉菌)の力を借りて菌糸などの菌類を糖質に変化させます。
一方、生き物の成長に欠かせないタンパク質は、本来の自然下において木屑を分解するミジンコの様な虫(微生物)をエサと一緒に食べて摂取しています。
実は、生き物は自身と同系統の生き物からしか効率良くタンパク質を摂取できません。
大きな魚は小魚から、人間など哺乳類は哺乳類(牛など)から、猛禽類は小鳥や小動物、といった感じで虫は虫からしか効率良くタンパク質を摂取できません。
栄養に精通した方ならご存知だと思いますが人間は、大豆などの植物性タンパク質は効率良く吸収できません。
菌糸や菌床は、製造過程で高温殺菌されていますので微生物(幼虫が吸収可能やタンパク源)が少なく、糖質に栄養価が偏っている特徴があり、幼少期なら爆発的に育ちます。
実は、幼虫には菌糸ビンで育つ事が出来る状態(成長期)と育つ事が出来ない状態(成熟期から老熟期)の2つの段階が有ります。
そのタイミングを見分ける事が出来れば飼育コストの削減や羽化率の上昇にも繋がります。
これらのポイントを写真を使って解りやすく説明したいと思います。
オオクワガタの終齢幼虫(成長期) |
成長期の幼虫のお尻の部分 |
上の2枚の写真は、1本目の菌糸ビンを食べ終わって大きく育った終齢幼虫幼虫です。
体全体が白っぽくお尻の部分に白い網目状の血管も見えます。
この状態の幼虫は、間違いなく次の交換で菌糸ビンに入れても大きく育つ事が出来ます。
※この状態の時は菌糸ビンに入れないと少し勿体ないです。
オオクワガタの終齢(成熟期から老熟期) |
成熟期から老熟期の終齢のお尻の部分 |
こちらの2枚の写真は、終齢幼虫末期(成熟期より老熟期に近い)個体です。
最初の2枚の写真と比べて色が黄色みを帯びています。
お尻の部分の白い血管も見えなくなり黄色みを帯びてます。
この状態になると菌糸ビンに入れても大きくならない為にオオクワマット(幼虫用マット)への切り替え飼育でも大丈夫です。
※但し、既に弱っていたり、気門が黒くなって壊死してしまった症状が出ている場合は羽化出来ない事が有ります。
特に画像の状態まで黄色くなってから更に菌糸ビンで飼育されたり、越冬幼虫(二年目)の幼虫を菌糸ビンで飼育して蛹化しないからといってマットに交換しても手遅れの場合が多いです。
菌糸ビンからマット飼育へ切り替えた健康なメスの終齢です。
上手くハマると75から80ミリの綺麗な大型個体が羽化する事も有ります。
勿論、この方法は、菌糸で育つ色々な種類に応用出来ます。