
■アカアシクワガタ(Dorcus rubrofemoratus)
北海道、本州、四国、九州、対馬や佐渡などの離島の標高が高く自然が豊かな山岳地帯に棲息する小型のクワガタです。
体色は、真っ黒で鈍い光沢があります。
オス、メス共に裏返しにすると腿節(大腿部分)が赤褐色になっているのが名前の由来です。
オスの大アゴは、やや直線的(緩やかな曲線)で先端に内歯の2から3対の鋭い突があります。
※小型になると内歯は、発達せずにハッキリしません。
オスは22から58ミリ(飼育下では59ミリ)、メス23から38ミリの報告例があります。
寿命は、約2年前後です。
やや標高が高い約300メートル前後の雑木林から標高1000メートル以上のブナ林に多く生息しています。
低地ではクヌギやニレ、ヤナギ、ハンノキ等にも集まります。

メスは、光沢が強く上翅のスジ(点刻列)が目立たない事に加え、前述のとおり腿節が赤褐色なので他のクワガタのメスと見分けやすいです。
■成虫飼育について

・推奨温度:0から25℃(真夏は、冷房が必要です。)
大人しそうに見えますが、大きなオスとメスを同居させたままにするとオスにメスが挟まれてしまう事故が時々発生するので別々に飼育するなど注意が必要です。
標高が高い気温が低い地域に生息する為、寒さに非常に強い反面、少し高温に弱い性質があります。
真夏は、冷房が効いた涼しい環境(20から25度前後)での飼育をお勧めします。
寒さに非常に強いので暖房や加温飼育の必要はありません。
真冬の加温は、短命の原因になるのでお勧めしません。
気温が低くてもエサを食べる事があるのでエサ切れには注意が必要です。
◆推奨アイテム◆
・コバエ防止ケース(中サイズ) ・プレミアム国産ゼリー ・成虫用マット ・エサ皿 ・止まり木 ・クヌギの落ち葉セット ・樹皮など
※オス、メスの別々の(単独)飼育の際の飼育ケースは、ミニか小サイズで大丈夫です。
ケースにマットを5~10センチほど入れ、隠れ家となる落ち葉や止まり木を入れます。
ゼリーは、エサ皿に入れて与えるとより衛生的です。
コバエ防止ケースを使うとコバエだけでなく乾燥も軽減してくれるので管理が一気に楽になります。
■産卵について

産卵は、主に朽ち木に行います。
繁殖の推奨温度は、20から25℃前後です。
※4から10月に行うと良いです。
繁殖品の場合、越冬後か羽化して3ヶ月以上経過して初夏から夏を迎え、オスとメス両方が活発に動いてエサを食べていたら大丈夫です。

◆推奨アイテム◆
・コバエ防止ケース(中) ・産卵木MサイズもしくはLサイズ ・成虫用マット ・プレミアム国産ゼリー、エサ皿 ・落ち葉 ・樹皮など
※飼育ケースの画像の黒いスポンジは、現在、コバエ防止フィルターシール(不織布タイプ)へ仕様変更が発生しています。
コバエ防止ケース(中)を使うとコマメな霧吹きなど加水の必要は有りません。

実際の産卵木のセット例の画像です。
重しを乗せて30分ほど加水した後、6時間ほど日陰干しを行なった産卵木を成虫マットで軽く埋め込む方法で大丈夫です。
この中にオスとメスを一緒に入れて大丈夫です。
オスを何日も入れたままにするとメスが挟まれてボロボロになってしまう事があります。
3から7日ほど経過して一旦、オスを取り出して別の飼育容器に移す事をお勧めします。

朽ち木に付けられたアカアシクワガタの産卵痕の画像です。
この状態になっていれば割り出し(幼虫採取)のタイミングです。
■幼虫飼育について

幼虫は、虫吉オオクワマットを木製プレスを用いて飼育ボトル550cc(現在は遮光クリアボトル500ccに変更)に固く詰めた物に1匹ずつ入れて4ヶ月に1回の頻度で交換するだけのシンプルな方法で羽化させる事が出来ます。
★50ミリ超えを狙う場合は、初齢もしくは二齢で1本目だけ虫吉ブナ菌糸ビン550cc(現在は遮光ブナ500cc)に投入して2本目の交換の際に虫吉オオクワマットでの飼育へ切り替えると良いです。

アカアシクワガタの幼虫は、加齢(成長)速度が早いので終齢で【暴れ】と呼ばれる菌床の掻き混ぜを起こしやすいです。
気温が高い環境や長期間の菌糸ビン飼育の際は、逆に縮んで小型化しやすいので注意が必要です。

1本目にブナ菌糸ビン550ccを与え、2本目からオオクワマットへの切り替え飼育で56ミリを羽化させた事があります。