昨年の秋にお客様より無添加産卵マットのみで国産オオクワガタが普通に産卵するというお電話をいただきました。
直ぐに試してみたかったのですが、冬場は加温を行っても産卵効率が落ちるので、春になるのを待って(少し早いですが)2月下旬に産卵セットを組み1ヶ月後の本日、割り出しを行いました。
産卵の床(とこ)が硬い朽木ではなく、柔らかいマットだけなので親メスによる子(幼虫)の捕食のリスクを回避する為、孵化するタイミング(かなり早め)に割り出しを行いました。
産卵セットの組み方は、下記のとおりです。
マットのみの産卵方法は、至ってシンプルでコバエ防止飼育ケース(中)に無添加虫吉産卵用マットを入れて木製マットプレスで固く詰めるだけです。
なお、マットは、2袋あれば十分に足ります。
一度に沢山のマットを入れてしまうと固く詰める事ができません。
そこでマットを詰める際は、袋の半分(2リットル)ずつ入れて固めると良いです。
使用するケースによって異なると思いますが、木製マットプレスを用いて2リットルずつを3回に分けて固く詰めて、層の厚みが10から13センチになる様に量を加減してください。
メスが潜り進んだ際に緩むと産卵しないので、かなり強めに詰める必要があります。
詰める際にケースが割れない様、下に段ボールや玄関マットなどを敷いて行うと良いです。
また、事前にケースの底に透明の梱包用テープを十字貼りしておくと補強になります。
プレスが終わったら足場を確保する為にクヌギの落ち葉を多めに入れます。
画像は、2024年2月24日に上記の内容で組んだオオクワガタの産卵セットです。
※ケースの縁に貼った白いテープは、コバエ防止効果を更に高める為に編み出したマル秘テクニックです。
余談ですがコバエ防止ケースにコバエ防止フィルターを貼り、更に縁にビニールテープを貼り、メッシュタイプの洗濯ネット(60センチ)の中に入れるとコバエの蔓延を防止できます。
ケースの側面から卵が見えます。
ヒラタやノコギリは、ケースの底を覗き込むと沢山の卵が見える事が多いのに対し、オオクワは、やや底に近い部分の固めた層に産卵している感じでした。
容器の側面から見える孵化して間もない小さな初齢幼虫です。
ケースの底のマットを食べている初齢幼虫です。
流石に1ヶ月経過すると糸状の菌糸が張っていますが特に問題はございません。
マットの中から出てきた卵と孵化した直後の初齢です。
今回は、親メスを回収する為の早めの割り出しにつき、ほとんどが卵か孵化して間もない状態ばかりでした。
今回の産卵セットの割り出しの結果は、卵(孵化直後も含む)が17、初齢幼虫が3の合計20です。
※卵は、写真撮影の為に一時的にカップに入れています。
初夏の本格的な産卵シーズンの前でしたが、マットだけでも想像以上の結果が出ました。
2024年4月3日追記:ブログ公開後に他のオオクワガタのマットのみの産卵セットを割り出したところ、今回よりも多い28匹の幼虫が出てきました。
なお、卵はカップのまま保管すると孵化率が落ちるので元の容器にマットと一緒に埋め戻して管理しています。
その状態で約4週間から1ヶ月後に再度ひっくり返して幼虫を回収する予定です。
幼虫は、無添加プレミアム虫吉マットで4から7日ほど養生させてからクヌギ菌糸ビン500ccに入れる予定です。
今後も引き続き、オオクワガタのマットのみ産卵の実験や考察を行ってみたいと思います。
なお、一般的には、産卵木を用いた産卵方法が主流なのですが今後は、高齢化による林業(椎茸の原木栽培)の衰退で朽ち木の流通が少なくなる事が危惧されていますのでマットのみで産卵するのであれば、ホームページの情報も令和バージョンにアップデートする必要がありそうです。