今回は、アマミシカクワガタの産卵方法を紹介したいと思います。
奄美大島と徳之島のみに生息する日本唯一のシカクワガタの仲間で現在は採集が禁止になっています。
夏を迎えると羽化月に関係なく活動を開始する事が殆どなのでこれからの繁殖に最適です。
この種類も樹液の季節(夏)に合わせて活動を開始するので気温次第では、羽化して直ぐに活動を開始する事もあります。
夏の場合、オスとメスがエサを食べ始めて1ヶ月前後が経過した頃から繁殖可能になります。
逆に秋以降に羽化した個体は、休眠期間が長くなり翌年の春から初夏の産卵になります。
※未活動の状態でしたら室内無加温(常温)越冬も可能です。
最も注意しなければならない事は、見掛けによらずオスが凶暴でオスとメスを長期間同居させると高確率でメスが殺されてしまう事です。
それでは先ず、ペアリングから紹介します。
オスのアゴを園芸用のグリーンタイ(通称:ネジネジ)で固定(アゴ縛り)しています。
飼育下では、オスがメスを殺してしまう種類が多いので、3から5日だけ窮屈な思いをさせてしまいますが仕方がありません。
※小さな種類なので少し難しいかもしれませんが希少種のなので是非、頑張ってみてください。
オスのアゴを園芸用のグリーンタイで縛った状態でBeケース(ミニ)で3から5日間だけ同居させます。
小さな飼育容器にマットを浅めに敷いて、隠れ家や足場の替わりになるエサ皿を入れておくと短期間で確実に交配が完了します。
アゴ縛りの状態は、長くとも5日前後に留めておいてください。
因に飼育容器の中には、ダニ取りマット、ワイドカップ用1つ穴エサ皿、超高たんぱくワイドカップゼリーを使用しました。
次は、実際のセットの組み方を紹介します。
※上記の状態で同居させてから3から5日後にセットを組む感じになります。
産卵木(朽ち木)は、余り柔らか過ぎるとダメなので適度な固さの物を2本使うとハズレが少なくなります。
因に今回は、個人的な好みでコナラ産卵木を2本使用しました。
※同じ太さのクヌギ材に比べて水切れが良いのが最大の理由ですが軟材で無ければクヌギMサイズでも大丈夫です。
先程紹介した2本の朽ち木をバケツの水に漬けて加水しています。
余り湿度が多過ぎると上手く行かない事が多いので加水時間は短くするのがポイントです。
水切りを短時間で済ませる為に湿度が高い日を避けて必ず、晴れた日に行う事をお勧めします。
加えて、加水時間も30分程度にする事も重要です。
下記の方法で時短(時間短縮)が可能です。
画像は、漬物石を乗せて押さえ付けているところです。
重しには、水を入れたペットボトルでも代用が可能です。
ブクブクと物凄い泡と共に水が浸透して行きます。
概ね30分ほどで加水が完了します。
※泡が減って来るので水から出すタイミングは、直ぐに分かります。
水から上げてカゴの上で水切りをしています。
地面から浮かせた方がスムーズに水が切れます。
晴れた日に風通しが良い日陰で6から8時間ほど干しておくと丁度良い感じになります。
樹皮をステーキナイフで剥がしています。
※樹皮を剥がすのは、これが一番です。
画像の様に樹皮を完全に綺麗に剥がしても大丈夫です。
使用するマットは、下記の2つの注意が必要です。
1つ目は、余り発酵が深く無い事。
2つ目は、水分が多すぎない事。
上記の事を踏まえ、【無添加虫吉幼虫用】を単体での使用もしくは、【オオクワマットに含水率を減らす為に成虫用をブレンドした物】のいずれかで過去に結果が出ています。
今回は、幼虫飼育でも結果が出ている無添加虫吉幼虫用を使用します。
画像は、木製プレスを用いてコバエ防止ケース(中)の底の部分のマットを固めているところです。
2本の朽ち木が並ぶ様に予め8から10センチの厚さになる様に固めました。
飼育容器を割らない様に下に玄関マットを敷いて作業を行っています。
※古新聞や古雑誌でも代用ができます。
固め終わったら上に朽ち木を2本並べます。
途中で飼育容器に当たってしまうようであれば少しマットを入れ足して底上げをしてください。
※飼育容器や朽ち木同士の間にメスが入り込むスペースが少し空く様に調節すると良いです。
飼育ケース(中)サイズは、幅と高さがあるので埋め込みに最適です。
上からマットを被せて朽ち木を軽く埋め込みます。
完全に埋め込まずに3分の1ほど出します。(面出しの状態です)
上の部分は、通気を確保する為に固める必要はありません。
横から見たらセットの様子です。
※経験上、朽ち木メインに産卵を行うので材質を重視する必要があります。
出来上がったセットにエサの昆虫ゼリーと最初に紹介したペアリング済みのメスのみを入れます。
スペースやお好みに応じてエサ皿を入れます。
※ペアリングが終わったオスのアゴ縛りを一端ほどいて別の容器で単独飼育を行なっています
上手く行くと10日前後で朽ち木を齧り始めます。
2週間経過しても産卵の形跡が無い特だけ再びアゴ縛りをしたオスをケースに5日ほど再投入してみてください。(5日経過したらオスを再び出してアゴ縛りを解きます)