
スジクワガタ(Dorcus striatipennis)
分布・・・北海道、本州、四国、九州(離島にも生息)
やや低地から標高1000メートルの山地までの比較的広い範囲に分布しているクワガタ。
分布が局地的なケースが多く、全く見かける事が出来ない地域も存在します。
成虫は主にクヌギ、コナラ(ミズナラ)、ヤナギなどの広葉樹の樹液に集まります。
コクワよりも若干標高が高く気温が低い場所を好みます。
オスは14から38ミリ程度、メスは14から24ミリ前後と小型のクワガタです。
オスは、一見するとコクワに似ますが大アゴの内歯(内側の突起)が二股に割れた様な太い形状である事で見分けが付きます。
内歯の発達は大型個体になればなるほど大きくなり小型個体は小さくなります。
(コクワと違い小型個体の内歯は完全消失しません)
体色やツヤに個体差が大きい種類なので黒~やや赤褐色の個体、光沢が有る個体やツヤ消し個体など様々です。
寿命は、約2年前後です。(飼育下で3年の報告もあります)

メスの上翅(背中のはね)には、はっきりとしたスジ(点刻列)が有り、独特の鈍い光沢があります。
コクワガタよりもスジや点刻が目立ち、前腕が少し湾曲します。
・スジクワガタのメスの解説>>
■成虫飼育について

推奨温度は、0から25℃以内です。(真夏は、冷房が必要不可欠です。)
標高が高い涼しい場所に生息していますので真夏の高温多湿な環境は避ける必要があります。
逆に寒さに強いので真冬の加温(暖房)の必要はありません。
自然下同様に冬場は、冬眠させた方が長く生きてくれるだけでなく、産卵効率も上がります。
◆推奨アイテム◆
・コバエ防止ケース(ミニサイズ、小サイズ、中サイズ)、プレミアム国産ゼリー、成虫用マット、エサ皿、止まり木、クヌギの落ち葉セット、樹皮、ゼリースプリッターなど
ケースにマットを5~10センチほど入れ、隠れ家となる落ち葉や止まり木を入れます。
ゼリーは、エサ皿に入れて与えるとより衛生的です。
ケースのサイズは、ペアの場合は小か中、1匹ずつの場合はミニを用いると良いです。
※コバエ防止ケースを使うとコバエだけでなく乾燥も軽減してくれるので管理が一気に楽になります。

スジクワガタの様な小さな種類は、昆虫ゼリーのカップの中に潜り込んで溺死するトラブルが稀に発生します。
画像の様にゼリースプリッターでカットして与える事をお勧めします。
■産卵について

繁殖の推奨温度は、22から26℃前後です。
温度管理なしの場合、自然界で繁殖活動が行われる5から10月頃(初夏から秋)頃まで産卵可能です。
天然採集品は、直ぐに繁殖可能ですが、新成虫の場合は羽化して3から4ヶ月以上経過してオスとメス双方がエサを食べ始めた状態(後食済み)のペアなら大丈夫です。
◆推奨アイテム◆

コバエ防止飼育ケース(中)、産卵木Mx1から3本、虫吉昆虫マット(成虫用または幼虫用)、プレミアム国産ゼリー、エサ皿、落ち葉、樹皮など
自然下では産卵は主に倒木に行う為、飼育以下でも同様に産卵木にメインで行います。
但し、マットにも産卵する傾向が高いです。
その為、無添加の幼虫用やオオクワマットなどの中間的な発酵の物を用いて産卵させたという報告も多数あります。(勿論、産卵木も良ければ爆産します)
コバエ防止ケース(中)を使うと霧吹きなど加水の必要は有りません。

30分ほど加水して6時間ほど日陰干しをした産卵木を入れて昆虫マット(成虫用または幼虫)で軽く埋めるセットで大丈夫です。
1本を完全に埋め込んで残り2本を画像の様に面出しで埋め込む方法(産卵木を3本使用)が確実です。
■幼虫飼育について

推奨飼育温度は、5から25度前後です。
寒さに強いので暖房の必要はありませんが若干、暑さに弱いので真夏の冷房は必要不可欠です。

幼虫飼育は、画像の様に無添加幼虫マットもしくはオオクワマットを550ccのボトルに木製プレスを用いてカチカチに固く詰めた物に投入すると比較的、手軽に行えます。
★画像のボトルは、現在終売につき、遮光クリアボトル500ccに商品の変更が発生しています。
ただし、小さなボトルは乾燥が早いので遮光ボトル800ccを推奨します。
800ccだと4ヶ月に1回の交換で大丈夫です。
500ccのボトルの場合、詰める固さや飼育環境によってはカラカラに乾燥する恐れがあるので様子を見ながら1から2ヶ月毎の交換をお勧めします。
幼虫が非常に小さいので交換の際は、潰さない様に細心の注意が必要です。
個人的には、大きめのボトルで交換回数を減らす飼育を推奨します。
通常、2本目の交換で羽化する事がありますが、低温での飼育やオスの場合、3本目の交換が必要な場合もあります。

前述の飼育方法で37から38ミリの個体を何度も羽化させています。