ノコギリクワガタ超特大サイズ(過去にInstagramで紹介した個体)の詳細飼育情報

今回は、過去に虫吉のInstagramで紹介した羽化情報の中から虫吉のパーソナルベストを更新したノコギリクワガタの仲間の飼育例を紹介したいと思います。

※ブログで公開して欲しいというご要望にお応えする形につき、少し古い情報も含まれますが飼育の参考にしてみてください。

最後に未だ紹介していない超大型ノコギリクワガタ(壱岐産)の飼育データを公開しています。

トカラノコギリクワガタ74ミリ

画像は、2023年2月上旬に羽化したトカラノコギリクワガタ(中之島産)74.08ミリの超特大サイズのオスです。
※勿論、虫吉のパーソナルベストです!

トカラノコギリ74ミリの上からの画像

湾曲が効いた超美形に加え、全身(裏側)まで赤みが強い超発色良好個体です。

交換リレーは下記のとおりです。

・1本目(2022年5月15日)にブナ遮光菌糸ビン500cc

・2本目(2022年8月12日)で遮光マットボトル800cc

ヒラタクワガタ並みの超早期羽化で12月に蛹室と思しき空洞を作っていたので3本目の交換無し(合計2本だけ使用の超ズボラ飼育)で羽化しました。

因みにマットへの交換時は、全く期待していない(見込み無し)の大きさでした。
余り興味が無かったので体重測定は省略しています。

※2本目のマットボトルの中で爆伸びしているのは100%言い切れます。

幼虫は交換時(掘り出し時)のストレス痩せを起こして小型化しやすいので無添加虫吉マットを用いて少ないタッチで羽化させる方法が上手くハマってくれた感じです。

ノコギリの終齢からの菌糸ビンは、持ちの悪さや暴れで痩せてしまう事に加え、交換回数が確実に1回は増えるはずなので虫吉ではお勧めしていません。


クチノエラブノコギリクワガタ72ミリ

続きましては、2023年5月に羽化したクチノエラブノコギリ72.48ミリ(天然個体の子=WF1)の超特大サイズのオスです。
(大型の美形個体です。)

※勿論、虫吉のパーソナルベストです。

流石にこの大きさになると羽化する迄に1年半掛かりました。

▼エサ交換のリレーは下記のとおりです。

・1本目(2022年12月6日、二齢):クヌギ遮光菌糸ビン500cc

・2本目(2023年3月17日、終齢13グラム):遮光マットボトル800cc

・3本目(2023年7月14日、終齢):同上

・4本目(2023年11月10日、終齢16グラム):同上

最初の1本目だけ菌糸ビンを与え、次の交換からマット飼育へ切り替えて羽化させました。

※菌糸ビン1本、マットボトル3本(合計4本)を使用しました。

なお、マットボトルとは、無添加プレミアム虫吉マットをボトルにプレスした商品の事です。


オキナワノコギリクワガタ72.9ミリ

次は、2023年10月羽化のオキナワノコギリクワガタ72.95ミリの超特大個体です。

73ミリまで0.05ミリ足りないので惜しい感じがします。

※勿論、虫吉のパーソナルベスト更新です。

▼エサ交換リレーは下記の通りです。

・1本目(2022年9月16日、二齢):ブナ遮光菌糸ビン500cc

・2本目(2022年11月24日、終齢):遮光マットボトル800cc

・3本目(2023年3月30日、終齢):同上

・4本目(2023年7月26日、終齢):同上

→2023年9月18日に蛹になっていたのを確認→10月15日に羽化確認。

最初の1本目だけ菌糸ビンを与え、次の交換からはマットへ切り替えて羽化させました。

最初の菌糸ビンは2ヶ月半で見切りを付けて、マットボトルは3から4ヶ月毎の交換です。

菌糸ビン1本、マットボトル3本の計4本を使用して割り出しから13ヶ月後に羽化しました。

蛹化や羽化日から逆算すると4本目へ交換して直ぐに蛹室を作っている事になります。

こういったケースの場合、ストレスで痩せやすいのですが運良く大きな状態で羽化してくれました。


ミシマイオウノコギリクワガタ70.58ミリ

2023年10月末に羽化したミシマイオウノコギリクワガタ70.58ミリの超特大サイズです。
※虫吉のパーソナルベスト更新です。

ガッチリとしたバランスが良い超美形個体です。

今回も菌糸ビンは、最初の1本目のみの使用です。

・1本目(2022年11月18日/二齢):クヌギ遮光菌糸ビン500cc

・2本目(2023年2月3日/終齢):遮光マットボトル800cc

・3本目(2023年7月6日/終齢):同上

※2023年10月2日にサナギになっているのを確認。

菌糸ビンは、持ちが悪いので2ヶ月半で見切りをつけてマットボトルへ切り替えました。

ノコギリクワガタの場合、マットボトルを4ヶ月ほど引っ張った方が大型化しやすいです。(通称:ズボラ飼育)


ヤクシマノコギリクワガタ70.52ミリの尺寸

こちらは、11月中旬羽化のヤクシマノコギリクワガタ超特大サイズ70.5ミリです。

虫吉のパーソナルベスト70.99ミリ(71ミリジャスト)には、少し及びませんが2019年夏以来、久し振りの70ミリ台です。

70.9ミリの羽化を紹介したブログ記事>>

★70ミリオーバーの羽化は、難易度が高すぎてお目にかかれる人の方が少ないはずです。

大アゴが太く、湾曲が効いた綺麗な個体です。

いつもの様に菌糸ビンは、最初の一本目だけの使用でマット飼育へ切り替えています。

1本目の菌糸ビンを与えた時点では、小さかったので確実にマットボトルで肥大化しています。

・1本目(2022年10月28日、二齢):遮光クヌギ菌糸ビン500cc

・2本目(2023年1月19日、終齢):遮光マットボトル800cc

・3本目(2023年5月25日、終齢):同上

→2023年9月下旬に蛹室を作っていたので4本目の交換無し。

以上の3本を使用して羽化しました。

菌糸ビンは、引っ張りすぎると大きくならないので2ヶ月半前後で切り捨てています。

マットボトルは、ノコギリクワガタの場合、少食系なので4ヶ月、引っ張る事ができます。
(1本目からマットボトルを用いるとズボラ飼育が可能です。)

ヤクシマノコギリ70.5ミリの上からの画像

先程のヤクシマノコギリ70.5ミリの上からの画像です。

独特の湾曲(うねり)と油艶の様な光沢が何とも言えません。

屋久島の亜種は、三島村(黒島、硫黄島)、口永良部島の亜種と異なり、腹部のポッチャリと太った感が無く、引き締まった逆三角形のバランスが良い美形個体が多いです。

先に紹介したクチノエラブ、ミシマイオウに比べて頭幅(頭楯の幅も)が広く大アゴも太くなりやすいです。

また、大アゴが付け根から外側に向かって大きく弧を描く様な極湾曲系の個体の発生率が高いです。

※この種は、湾曲が効くほど画像の様に第一内歯(アゴの付け根から数えて1番目の歯)と第二内歯(付け根から数えて2つ目の一番大きな歯)が他の種類よりも接近して下に向きやすい傾向があります。
(前後に紹介している種類の画像と見比べると第一内歯と第二内歯の間隔が狭いのが分かると思います。)

個人的に好きな種類なので、ついつい熱々と述べてしまいました。。。


続きましては、壱岐産ノコギリクワガタ73ミリの二連発です。

ノコギリクワガタ壱岐産73.5ミリ

▲壱岐産ノコギリ73.55ミリ(1匹目)▲

壱岐産ノコギリクワガタ73.27ミリ

▲壱岐産ノコギリ73.27ミリ(2匹目)▲

2023年11月末にノコギリクワガタ(壱岐郷ノ浦産)の超特大73ミリ2匹です。

※共に天然採集品のメスの子(WF1)です。

73.55ミリと73.27は兄弟ですが大アゴの雰囲気が全く異なる所が面白いです。

エサ交換のリレーは、2匹とも1本目(初二齢)で菌糸ビンを与え、次の交換からマットへ切り替えています。(下記の3本の使用で羽化)

・1本目(2022年12月4日、二齢:クヌギ遮光菌糸ビン500cc

・2本目(2023年2月14日、終齢):遮光マットボトル800cc

・3本目(2023年6月15日、終齢):同上

菌糸ビンで引っ張ると大きくなりにくいので2から2ヶ月半前後で見切りを付けて無添加虫吉マットボトル(4ヶ月後の交換でOK)でズボラ気味の飼育が上手くハマります。

因みに2本目から3本目への最終交換時の幼虫の体重は15から16グラムです。

※ノコギリクワガタは、スリムな体型なので、オスの大型終齢でも10から13グラム程度です。
他の種類と比較すると軽いかもしれませんが、この体重でもかなり凄いです。


Instagramで紹介した後で更なる大型個体が羽化していましたので紹介します。

画像は、2024年の年始に羽化した同じくノコギリクワガタ(壱岐郷ノ浦産)74.89ミリの超特大サイズのオスです。

75ミリまであと0.11ミリの惜しいサイズですが虫吉のパーソナルベストを大きく更新しています。

先に紹介した73ミリ(2匹)の兄弟です。

エサ交換リレーの詳細は、下記のとおりです。

・1本目(2022年12月9日、二齢):クヌギ遮光菌糸ビン500cc

・2本目(2023年3月2日、終齢):遮光マットボトル800cc

・3本目(2023年7月26日、終齢):同上

※なお、2本目から3本目への交換時の体重は15グラムでした。

2023年11月に蛹室(蛹の部屋)と思しき空洞を作っていたので4本目の交換なし。

→12月中旬に蛹になっていたのを確認。

こちらも間違いなく、マットボトルで一気に大きく育っています。

罫線

今回は、ノコギリクワガタの超大型個体を一気に紹介しましたが、一貫して言える事は、終齢になったら無添加虫吉マットボトルでの飼育に切り替えて交換頻度を落とす【ズボラ飼育】を行っています。

飼育温度は、全て21から23℃の範囲内の一定で保っています。
(20度以下だと成長が鈍化して大きく育ちにくいのでお勧めしません。)

温度以外に重要なポイントは、下記の2つです。

・マットや菌糸ビンを箱の中に入れたままにしない事。

・ボトルに詰めてから(もしくは到着して)直ぐに幼虫を入れない事。

マットや菌糸の中には、幼虫の生育に不可欠な目に見えない菌類や微生物、バクテリアが沢山住んでいます。

つまり生き物(いきもの)の集合体の様な物なので、箱の中や空気の流れが遮られる環境で保管すると酸欠を起こしてしまいます。

また、菌糸ビンよりも手軽なマットでも詰めて直ぐの場合、微生物やバクテリアが安定しないので幼虫の落ち着きが極端に悪くなって潜らないというトラブルも多くなります。

必ず飼育環境で3日以上慣らしてから幼虫を入れてください。
※交換予定日の前の週に詰めておく事をお勧めします。