いよいよ6月の採集や羽化、産卵セットなど本格的な昆虫シーズンを迎えています。
今回は、先月5月29日に行った国産オオクワガタ(福岡県久留米産)の産卵セットの割り出しの様子をお伝えしたいと思います。
画像は、4月15日にセットした産卵木の様子です。
コバエ防止飼育ケース(中)に産卵木LL(加水後に日陰干し済み)を1本だけ立てて成虫用マットで3分の2ほど埋め込んでセットを組んでみました。
※エサは、産卵効率が良いプロゼリーもしくは、ホワイト高タンパクゼリーを与えています。(共に防腐剤や発色剤が入っていません。)
産卵木の表面から幼虫の食痕(木屑の吹き出し)が見えます。
なお、ケースの縁の白いビニールテープは、キノコバエと呼ばれる朽ち木やマット、菌床に集まって大増殖する厄介なコバエの侵入を阻止する為の対策です。
フタがコバエ防止タイプでもケース本体とフタの間のグラつきで微妙な隙間が発生するとコバエの侵入を許してしまうので貼っています。
グラつきを抑える事が目的なのでテープを貼った後でフタの閉まりがキツイ場合は、テープをカット(短く)して調節してみてください。
更にケースの蓋の上に専用のコバエ防止フィルターシールやハエピタシートを貼ると侵入防止レベルを上げる事が可能です。
更にコバエ防止レベルを強化する場合は、洗濯ネット(メッシュタイプの大型)や不織布タイプの布団収納カバーを用いると良いです。
画像の様に洗濯ネットにケースごと入れて保管するとコバエの発生や蔓延を阻止する事ができます。
※少し大きめの60サイズくらいのタイプが使いやすいかもしれません。
スチールラックなどで産卵セットを並べて保管する場合は、棚の幅や奥行き、ケースの高さに応じたサイズの布団収納カバーを準備して複数の産卵セットを入れると良いです。
ただし、どんなに対策を行っていても餌やり等の開け閉めの際に侵入する恐れがあるので注意が必要です。
コバエが発生したケースを洗濯ネットや布団収納カバーに封印して、餌やりを最後に行うなど工夫をすると良いです。
コバエ対策の説明が長くなってしまいましたが本題の割り出しに戻ります。
産卵木の断面に出ていた初齢幼虫です。
※久し振りの更新につき、幼虫を潰さない事に集中しすぎて、ケースから取り出した産卵木の全体画像を撮り忘れてしまいました。(大量の産卵痕があったのですが…)
先程の幼虫を潰さない様にマイナスドライバーを用いて少しだけ木を割ってみました。
小さな破片の中に更に1匹の初齢幼虫がいました。
幼虫を潰さない様に慎重に産卵木を割ると食痕(坑道)と共に2匹の幼虫が姿を見せました。
更に割ってみると大量の初齢幼虫が姿を見せました。
産卵木LLは、爆産材という異名のとおり、破壊力抜群です。
産卵木の芯の付近に食い込んでいた幼虫です。
硬い部分にも食い進んだ食痕が見えます。
先程の反対側からも沢山の幼虫が出て来ました。
今回の産卵には、昨年(2021年)5月羽化のメスを用いましたが想像以上の幼虫の数でした。
幼虫や卵が残っている可能性があるので割り出した後の朽木片とマット(割りカス)は、元のケースに戻して保管すると良いです。
約4週間から1ヶ月後、再びひっくり返して幼虫をの有無および完全回収を確認してから燃えるゴミとして廃棄してください。
ケースには、種類や産地、割り出し日などが分かる様にメモやテープに記載して貼っておくと管理しやすいです。
今回のオオクワガタの幼虫の割り出し結果です。
初齢ばかり38匹が出て来ました。
良いタイミングで菌糸ビンに入れる事ができそうです。
一時保管用カップの中に無添加プレミアム虫吉マット(幼虫用)を入れています。
※商品には、ノコギリ、ヒラタ、カブト、ミヤマ用と記載していますが無添加で粒子が柔らかくて細かいので食いが良くて落ち(死に)にくいです。
カップに蓋を閉めた状態で4から7日ほど養生させてから遮光クヌギ菌糸ビン500ccに入れる予定です。
※養生期間を設ける理由は、割り出し時の外傷の他に虚弱などの異常で直ぐに死んでしまう幼虫を見極める為です。
なお、カップには、幼虫管理用ラベルを貼るスペースが無いので面倒でもマスキングテープなどに種類や割り出し日などを記載してカップ1個ずつ(1匹ずつ)貼って管理ミスを防いでください。
本格的な虫のシーズンに突入しますので面白い情報があれば紹介したいと思います。