冬場の飼育が分からなくて心配だというお客様の為に虫吉が推奨するお手軽クワガタの冬眠術を紹介します。
◆画像のオススメの飼育用品は下記のとおりです。
- コバエ防止飼育ケース(中):コバエだけでなく冬場の乾燥も防げるので安心です。
- ココパウダーマット:フカフカ粒子で潜りやすく保温性、保湿性バツグンです!
- クヌギの落ち葉:転倒防止の足場や隠れ家に最適です。
- イエロー果汁昆虫ゼリー:安心の国産製です。
- ゼリースプリッター:昆虫ゼリーを真っ二つにできます。気温が下がって食が落ちた時期のエサやりに最適です。
- プリッター用のエサ皿:カットしたエサを直接与えると不衛生になるのであると便利です。
それでは、実際にセットを組んでみたいと思います。
コバエ防止ケース(中)にココパウダーを入れます。
開封時に軽く湿っている様でしたら特に加水の必要はありません。
半分くらいまで入れます。
※冬眠は数ヶ月に及ぶので乾燥が心配な方は、この状態でコップ半分くらい(約80から100cc)の水を最初から加えていただいて大丈夫です。
深さは、10から13センチほどあれば問題ありませんが、お好みで少し多めに入れても大丈夫です。
※潜りやすい様に気温が高い時期よりも少し深めに入れる感じです。
ゼリースプリッターで昆虫ゼリーをカットします。
寒くなると余りエサを食べないので半分に切って与えると経済的です。
※1匹当たり、カットした物を1個ずつ与える感じです。
専用のエサ皿にセットします。
飼育容器に落葉などを一緒に入れてセットの完成です。
成虫は、基本的に寒くなると休眠状態になり活動を停止させる事で体力の消耗や老化を抑えて長く生きる事が出来ます。
日本産(離島産も含む)で複数年の寿命を持つ種類は、真冬に加温して活動させると産卵や寿命に支障が出て来ますので低温で冬眠させる事をお勧めします。
※エサを余り食べませんが体内に栄養分を蓄えていますので問題ありません。
気温が15℃前後の時は、エサを食べる事がありますので冬でもコマメにエサの減りを確認してください。
冬場の食べ残しは、1週間に1回の間隔で交換してください。
※休眠していますのでエサが少々カビてしまっても上記の間隔で大丈夫です。
種類別の要点を簡単に紹介してみます。
◆オオクワガタの場合
オオクワガタは、日本の里山に生息する寒さに強い昆虫なので低温の心配が全くありません。
産卵や寿命の観点から、真冬は暖房の影響が全く無い室内の寒い場所(出来るだけ自然に近い気温)での飼育をお勧めします。
寒暖の差に反応して15℃前後でも普通に表に出て来てエサを食べる事があるのでエサ切れに注意が必要です。(基本的にエサ切れとマットの乾燥に注意すれば問題ありません)
・0から10℃以下(5℃前後)が最適です。
※10℃を完全に下回ると本格的な冬眠に入ります。
◆ヒラタクワガタの場合
ヒラタクワガタの仲間は、主に西日本や九州の離島に多いので寒さに弱いと思われがちですが実際は寒さに強く冬眠させた方が長く生きて翌年の産卵効率が上がります。
※実際に北海道や東北のお客様でも無加温(暖房、ヒーター無し)で奄美や沖縄等の離島産ヒラタを長期飼育しておられます。
この種類も15℃前後でもエサを食べる事が多いのでコマメなチェックが必要です。
・本土ヒラタや日本海側の離島産亜種も私たちが住んでいる環境と同じ様な気候なので0から10℃以下(5℃前後)で大丈夫です。
・沖縄や南西諸島などの太平洋側の離島産亜種でも室内であれば5℃前後の低温でも大丈夫です。
基本的にマットの乾燥とエサ切れに注意すれば温度は余り心配する必要はありません。
室内でしたら、暖房器具無しでも氷点下にならないので普通に春に元気な姿を見せてくれます。
◆コクワガタの場合
コクワガタの仲間も基本的に低温に強く寒い環境での冬眠が可能です。
日本には、大きく分けて2種類が存在しています。
・身近な日本(本土)産の亜種に当たる鹿児島県沖などの離島産は、低温に強く0から10℃の範囲内であれば問題ありません。
・もう一方のリュウキュウコクワの仲間も寒さに強く5℃前後の低温でも大丈夫です。
この種類は、15℃前後で餌を食べる事が有りますのでエサ切れや乾燥には注意が必要です。
※寒い冬場の餌の食べ残しは、前述の様に1週間毎の交換で問題ありません。
◆ノコギリクワガタやミヤマクワガタの場合
ノコギリクワガタの仲間とミヤマクワガタも羽化して未活動の餌を食べ始める前(未後食ともいう)の状態でしたら他の種類と同様に耐寒性があり室内でしたら冬眠可能です。
自然界では、晩夏から秋に羽化すると朽木や土の中に作った蛹室(サナギの部屋)の中で一回冬越しをして翌年の夏に姿を現す物が殆どです。
※新成虫は、未活動、未後食の状態で冬を越して羽化から1年近く生きる事になります。
一方、活動を開始している真夏の天然採集品の場合、基本的に秋以降に寿命が尽きてしまい長く生きる事が出来ません。
但し、稀に天然採集品でも低温飼育で越年して翌年の3から7月まで生きるご報告を頂いております。
ノコギリクワガタの仲間も二種類の亜種が存在しています。
・身近な本土産の亜種に当たる鹿児島の離島産ノコなども未活動個体でしたら0から10℃以下(5℃前後)での飼育で大丈夫です。
・もう一方のリュウキュウノコギリの仲間(トカラノコなど)も未活動の状態でしたら5から10℃前後(5℃を多少下回っても可)で大丈夫です。
繁殖品でも20℃前後の気温で急に活動を開始する種類が存在しており、初冬(晩秋)の季節や初春の季節の気温が上がった日に注意が必要です。
※ゼリースプリッターでカットした餌を与えたままの状態にする事をお勧めしています。
また天然個体や活動を開始した個体(後食済み)は、加温(暖房器具で温める)、無加温(低温)に関わらず年を越せずに力尽きてしまう事があります。
未活動個体は、直ぐにひっくり返って潜れずに乾燥したり消耗してしまうので色々な意味で潜りやすいココパウダーマットや落ち葉が必需品です。
大変参考になります。
クロシマノコギリとトカラノコギリを一目見てからすっかり魅力にはまってしまいました。
双方とも秋に卵を産んだのですが、春まで生きられるのでしょうか?
今は、ココパウダーマットに潜って出てこないようですが・・・
ひで様
いつもお世話になっております。
クワガタ工房 虫吉です。
トカラノコギリ、クロシマノコギリ共に飼育環境の他に産卵数やコンディションにも左右されますが、春まで生きる可能性も御座います。
※天然採集品のアマミノコギリでもコンディションが良い個体でしたら11から12月に産卵させる事も有るほどです。
因みに2014年10月羽化のクロシマノコギリのオスが2015年12月9日時点で未だ元気に生きています。
クワガタは、寒い時期に無理に温度を上げるよりも無加温で動きを止めた方が消耗が少なくなって長く生きてくれます。
天然採集のミヤマやノコギリでもコンディションが良い個体は、年を越して新年を迎える事が可能ですのでお手元のクワガタも十分に春を迎える可能性があると思います。
宜しくお願い致します。
ヒラタクワガタとおおクワガタ2年目です、去年は暖房も夜はつけた部屋でした、今年はなしの部屋にしようか迷ってます❗
かおる
かおる様
コメントありがとうございます。
本来、自然界で冬眠する種類のクワガタは、飼育下でも冬眠させてあげた方が長く生きてくれる傾向があります。
長期飼育をご希望の際は、寒い環境をお勧めします。
宜しくお願い致します。
オオクワガタを飼育しています。
現在冬眠中です。マットが乾燥したら、霧吹きで加湿しないといけないですよね?
その時、軽くかき混ぜたりしないといけませんか?
お問合せを頂き有難うございます。
確かに真冬は、空気が乾燥するので知らないうちにマットも乾燥していることが多いです。
お問い合わせの件で最も早い解決策は、乾燥しない(乾燥を遅らせる)飼育環境を作る事です。
手取り早い方法は、コバエや乾燥防止タイプなどある程度の気密性が高い飼育容器もしくは、コバエや乾燥を防ぐ昆虫用のシートを用いる事です。
コバエや乾燥防止タイプの飼育ケースがない場合は、大きめの透明ビニール袋に細いキリ(千枚通し)で無数の穴を開けた後に切り開いて飼育容器の本体と蓋の間に一緒に挟むとリーズナブルです。(小さな容器の場合だとキッチン用の水切り袋でも大丈夫かもしれません)
その際に水滴やコバエを防止する為に新聞紙も一緒に挟み込んでおくと効果的です。
ただし、4月以降は、気温が高くなって蒸れやすくなるのでビニールを外してください。
宜しくお願い致します。
今回初のクワガタ(アマミノコギリクワガタ)飼育&繁殖なのですが、コメント見ていると今年限りなのかなぁっと不安が絶えません
そうなる前に繁殖させるべくアドバイスを下さい、また同じ個体で何度か繁殖出来るのでしょうか?完全初心者でわからないことだらけです
桜島様
お世話になります。
クワガタ工房 虫吉です。
お問合せを頂き有難うございます。
アマミノコギリは、天然個体であれば直ぐの繁殖が可能です。
但し、新成虫で未活動(エサを食べ始めていない)個体の場合、活動を開始しなければ繁殖できません。
※この手の種類は、気温が高いと羽化して間もない新成虫でもオスとメスの片方だけが年内に活動を起こしやすく、そうなった場合は繁殖が厳しくなってしまいます。
基本的に同じメスの2回目の産卵は老化や寿命の観点から厳しいです。
宜しくお願い致します。
初めまして。今ウチにはメスのオオクワガタがいるのですが、冬眠について質問です。この子は冬眠3年目で、今年の夏も元気に活動してました。10月に入り気づいたらもぐっていて、冬眠準備ができませんでした。今からでも土を変えたりしても平気でしょうか?また、土を変えたら冬眠明けまで土変えはしないほうがいいのでしょか?3年目を迎えてもいつも悩みます。この子には長生きして欲しいので…
お問合せを頂き有難うございます。
オオクワガタ、コクワ、ヒラタなどの体型が扁平な種類は、自然界で樹液が止まる秋になると体力を温存する為に徐々に活動が減り、寒くなると冬眠体制に入ります。
マットが汚れてベチャベチャになっていれば交換の必要がありますが綺麗な様でしたら未だ交換されなくても大丈夫だと思います。
お住まいの地域にもよりますが今年は例年よりも気温が高いので本格的な冬眠は、もう少し先になるかもしれません。
なお、冬眠前にマットを交換すると来年の春まで交換する必要は無いと思います。
それとこの時期は、寒暖差が大きい季節につき、エサ切れとマットの乾燥にご注意ください。
始めまして。質問失礼致します。
今年初クワガタの飼育で、コクワのメスを9月に拾い飼い始めたのですが10月初めまで夜になると動き回り、コバエ防止シート(不織布のもの)に穴を開けたりしていました。
そのため産卵したいのかと思い遅いのはわかりつつ保水した朽木のセットに2週間くらい入れたのですが、そのまま木に入り込み越冬してしまいそうです。
今の環境だと朽木の保水のせいか、エサに小さなダニがいっぱい湧いてしまっていてこのままの環境で越冬させてしまって良いか不安です。
今からでもダニ防止マットを購入し、変えた方が良いでしょうか。
プリン様
コメントありがとうございます。
今年の秋は、例年よりも気温が高く、雨や台風の影響で湿度が高かったので飼育中のクワガタが活発に動き回っているというご報告を他のお客様からも多く頂きます。
本題のエサやマットの上を動いているダニは、腐葉土や排泄物、食べこぼし等の有機物を分解して土に帰す働きをする土壌性の微生物なので飼育上の問題はございません。
あまり馴染みが無いと思いますが、これらの微生物たちが朽ちた草木や汚れを掃除をしてくれるお陰で自然界でも土壌のバランスが保たれています。
※これらの土壌性微生物が存在しなくなったら菌類(細菌)が増殖して環境が悪化するとも言われています。
なお、クワガタに付着するダニは、ヒョウヒダニ(コナヒョウヒダニ)の仲間なので今回のダニとは全く別の物になります。
ダニ取りマットは、こちらのヒョウヒダニに効果的なアイテムです。
効力を上げる為に乾燥しているので、そのままの状態では冬の飼育に不向きです。
宜しくお願い致します。
詳しく回答いただきましてありがとうございます。
クワガタにとって害のあるのとは違うダニとのことで、安心しました。
マットについてはこのまま様子を見ることにしようと思います。
越冬は保水した朽ち木の中で行うことになっても大丈夫なのでしょうか?
ご回答いただきましてありがとうございます。
クワガタにとって害のあるのとは違うダニとのことで、安心しました。このまま様子を見ることにしようと思います。
このまま保水した朽ち木の中で越冬してしまっても大丈夫なのでしょうか?
プリン様
いつもお世話になっております。
お返事ありがとうございます。
実は、自然界のコクワガタは、冬になると朽ち木の中に潜り込んで冬眠するので全く問題はありません。
産卵のつもりで飼育容器にお入れになられた朽ち木が冬眠中の良い隠れ家になると思います。
※ご報告の限りでは、湿度も保たれて最適な環境だと思います。
ご不明な点が御座いましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。
宜しくお願い致します。
詳しいご回答をいただきまして、ありがたいです。(2回も同じ返事を送信してしまったようですみません;)
そうなのですね、とても安心しました。ではこのまま様子見をしようと思います。
最近わからないことだらけなので虫吉ブログさんを参考にさせて頂いています。また必要物品などは購入させていただきたいと思います。
質問もまたしてしまうかもしれませんが、よろしくお願い致します^^
こんばんは。はじめまして。主人と子供が飼い始めたクワガタに無知で死んでしまったと思って土に返そうとおがくずに隠れていたヒラタクワガタオスとみやまクワガタメス(死んでいなくて冬眠していた模様です)を冬眠から目覚めさせてしまいました。何度かおがくずをかぶせて見たりしたのですが出てきてしまい、、、
どうすればいいのか困っています。
対処方法などあれば教えて頂きたいです。
初歩的な質問でしたら申し訳ありません。
あんず様
コメントありがとうございます。
まず、死んでしまったクワガタは、絶対に屋外に埋葬(廃棄)しないでください。
※クワガタは、自然界にも生息している特殊なペットなので他所から持ち込まれた個体の場合、生きていたら遺伝子撹乱や汚染のリスクがあります。
今年の冬は暖冬なので暖房が効いていない場所でも冬眠中のクワガタが日中に出てきてエサを食べるというご報告が非常に多いです。
特にヒラタクワガタなどの越冬後も活動可能な種類は、その傾向が強いのでエサ切れと乾燥にご注意ください。
上に出てきた際の隠れ家として落ち葉を多めに敷いておくと乾燥防止も兼ねるのでお勧めです。
宜しくお願い致します。
こんにちわ。
オオクワガタですが、12月から冬眠に入りました。4月からはペアリングしたいのですが、いつ頃から解除したらよろしいでしょうか?
マッキー様
コメントありがとうございます。
常温(無加温)で飼育中のオオクワガタは、春になって暖かくなると自然に活動を開始しますので無理に解除(冬眠から起こす)必要はありません。
なお、気候や地域によっては、3月頃からエサを食べ始めますが繁殖は、自然界のオオクワガタが姿を現す5月上旬頃から準備を行うと確実です。
※春先は、暖かい時間帯にエサを食べて気温が低い時間帯は休眠しますので気候が安定する初夏の季節からが最適です。
宜しくお願い致します。