4月になり、ヒラタクワガタ(福岡県福津市にて自己採集したメスの子=WF1)の本格的な羽化が始まりました。
その中から大きな個体や面白い形状の物をいくつか紹介したいと思います。
まず最初にヒラタクワガタ(福岡県福津市産)大型71ミリの尺寸の画像です。
※このサイズの羽化は、2022年12月以来です。(結構、ハードルが高いです。)
手のひらに乗せた画像です。
綺麗でバランスが良い美形個体です。
▼昨年の9月3日に割り出した幼虫を下記の餌交換リレーで羽化させました。
・1本目(2023年9月8日):ブナ遮光菌糸ビン500cc
・2本目(2023年11月23日):遮光マットボトル800cc
→3ヶ月後の2024年2月下旬に蛹室内で前蛹(蛹の前段階)になっていたのを確認した為、3本目の交換なし。【クワガタ成長過程の紹介】
→2024年3月29日羽化。
★飼育温度は21から23℃の範囲内で終日一定の温度で保っています。
菌糸ビンは、持ちが悪いので2ヶ月半で交換して、持ちが良くて確実に3ヶ月間引っ張る事が可能なマットへ切り替えています。
なお、当店では、菌糸ビンの暴れや交換時のストレスによる幼虫の激痩せを防ぐ為、2本目の菌糸ビンを使わずに菌糸ビンからマットへの切り替え飼育を行っています。
■ヒラタクワガタに使う1本目の菌糸ビンについて
現在、当店の菌糸ビンは、クヌギ(カンタケ菌)とブナ(オオヒラタ菌)の2種類を取り扱っています。
ヒラタクワガタ(離島産亜種も含む)が大きく育つのは、ブナの方です。
クヌギ(カンタケ)は、ヒラタとの相性がイマイチで大きく育ちません。
※何年も前の過去のブログでヒラタにクヌギを使っている記事がありますが、当時と今では菌床の仕様変更が何度か行われておりますので最新の情報を参考にしてください。
今後、最初の1本目からマットボトル(菌糸ビン不使用)での飼育例などの情報もアップする予定です。
■マットボトルの補足の説明
マットボトルとは、無添加虫吉幼虫用マットをボトルに渾身の力で詰め込んだ商品の事です。
添加剤が入っていないので幼虫に有害な発酵ガスが発生しないので強く詰めても安心です。
★企業秘密ですが側面(ボトル壁面側)が人力の限界値に近い硬さで詰まり、中心付近は通気性確保と幼虫が潜れる様に異なる圧で詰まっています。
800ccは、中央付近に直径約60ミリ、高さ60ミリの円錐形(すり鉢型)、
1400ccは、直径約75ミリ、高さ75ミリの同様の円錐形の目に見えない異なる加圧部分がそれぞれあります。
ここからは、少し変わったヒラタクワガタを紹介したいと思います。
画像は、2024年4月13日に羽化したヒラタクワガタ(大アゴのノコギリ状小歯完全消失型/通称、ギザ無しヒラタ)70ミリのオスです。
先に紹介した71ミリの兄弟です。
WF1で70ミリ超えが複数出ているので大型化しやすい血筋かもしれません。
▼エサ交換リレーは、下記のとおりです。
・1本目(2023年9月8日):ブナ遮光菌糸ビン500cc
・2本目(2023年11月23日):遮光マットボトル800cc
→2024年3月3日に蛹室内で前蛹(蛹の前段階)になっていたのを確認した為、3本目の交換なし。
餌交換の概要は説明済みにつき、省略します。
先程の個体の上からの全体画像です。
綺麗なギザ無し美形個体です。
■ヒラタクワガタのアゴに関する説明です。
一般的にヒラタクワガタは、小型(40ミリ台以下のサイズ)になるほど大アゴのノコギリ状の小歯が消失したり、顆粒肌(点刻)のザラ付きが弱まり(光沢が強く)見た目がメスに近くなります。
その理由として小型のオスが大きなオスと縄張り争いをしても勝ち目が殆どありません。
そこで強いオスの縄張り(木の洞や裂け目などの穴)にメスに見せかけて入り込み、中にいるメスと確実に交尾をして子孫を残す為と言われています。【弱者の強かな必勝戦術です。】
ただし、自然界、飼育下共に大型になっても今回の画像の様な大アゴの内側のギザギザ(ノコギリ状の小歯)が消失した個体が、極稀に発生する事が広く知られています。
夏になると時々、同様の形状の採集品の識別や鑑定のお問い合わせメールをいただきますが今のところ、詳しいメカニズムが解明されていない様です。
分布のルーツ(遺伝子の地域差)の関係で日本海側の地域と太平洋側の地域、更に沿岸部と内陸部など局地的に発生率が異なるかもしれません。
・2015年7月18日のギザ無しヒラタ採集のブログ記事>>
今回は、更に強烈なギザ無し個体が羽化していましたので紹介します。
こちらは、先に紹介した2個体とは、異なる野外採集品のメス(福岡県福津市産)から生まれた本土ヒラタ67ミリです。【2024年4月10日羽化】
両アゴの内側のギザギザが完全に消失しており、スベスベの状態です。
※餌交換の詳細は、先に紹介した2個体とほぼ同じなので省略します。
(ブナ菌糸ビン500cc→マットボトル800ccで羽化)
▲67ミリの大アゴの拡大画像です。
同じ種類でも通常タイプと全く雰囲気が異なりますので商品ページを分けて近日販売予定です。
この形状が次世代でも遺伝するかどうかは、不明ですがご興味をお持ちの方は、是非、検証してみてください。