2021年春の本土ヒラタクワガタなど大型個体の羽化状況

久しぶりの投稿になります。

※昨年は、産卵セットや幼虫の割り出しが秋以降に集中してしまいましたので羽化が4月以降になりそうです。

本格的な羽化ラッシュを前に大型個体が少しだけ羽化しておりましたので紹介したいと思います。

★今回の記事で登場するボトルは、現在、550cc→遮光タイプ500cc、850cc→遮光タイプ800ccへ仕様を変更しております。

本土ヒラタクワガタの大型個体

画像は、2021年3月中旬に羽化した本土ヒラタクワガタ(福岡県福津市産)の大型個体です。

綺麗でドッシリとした感じの個体です。

昨年の6月に自己採集したメスを産卵させて得られた幼虫を羽化させました。

産卵方法は、こちらをご覧ください。>>

本土ヒラタの尺寸の様子

先ほどの本土ヒラタをノギスで測定した様子です。

71ミリには、僅かに届きませんが70ミリオーバーの大型個体です。

飼育に関する情報は、下記のとおりです。

■飼育温度は、20から22℃前後(常時、エアコン稼働の一定温度管理)。

■エサ交換リレー(菌糸ビン→マットへの切り替え)。

・1本目(2020年8月3日、二齢幼虫):ブナ菌糸ビン550cc(現在は遮光ブナ500cc

・2本目(2020年11月5日、終齢):無添加虫吉マットボトル850cc(現在は遮光ボトル800cc

→2021年2月25日に蛹化を確認したので3本目の交換無し。

→3月18日の羽化です。

昨年は、秋以降の気温が低かったので例年よりも早く暖房に切り替えた影響で1本目の投入から7ヶ月半というスピードで大型個体が羽化しました。

2本目からは、終齢幼虫での暴れ(菌床の掻き混ぜ)だけで無く、交換時(掘り出し)のストレス痩せのリスクを軽減する為に持ちが良い無添加虫吉マットでの飼育へ切り替えています。

※例えば、2本目(終齢)を菌糸ビンに入れたと仮定すると2から3ヶ月後の交換になるので羽化するまでの交換が1回多くなる可能性があり、交換時ストレス痩せ(サイズのロス)のリスクが上がります。

最初の1本目(初二齢時)だけブナ菌糸ビンを与えて終齢まで育ててしまえば、次の交換でマットボトルに入れるだけでツボにはまりやすいです。

菌糸ビンからマットへの切り替えについて>>

マットボトルについて

当店の幼虫用マットは、無添加なので添加物による発酵ガスが発生しないので幼虫に優しく、持ちが良いので強く詰め込んでおくと本土ヒラタクワガタの場合だと3から4ヶ月に1回の交換頻度で大丈夫です。

※勿論、添加剤が入っていないのでガス抜き不要です。

マットの詰め方>>

◆ここからの説明は、虫吉マットに限らず、全てのマットや菌床に当てはまる飼育のポイントです。

マットには、幼虫の栄養源となる沢山の土壌性微生物やバクテリアが生息しています。

到着直後やボトルに詰めて直ぐのマットは、一時的に微生物や菌類が不安定になっています。

幼虫は、急激な環境変化によるストレスを受けやすいので、いきなり交換すると嫌がって落ち着かない事があります。

そこで下記の方法で投入前の3日ほど前から飼育環境で慣らして頂くと幼虫へのストレスが軽減します。

サーキュレーター

画像は、サーキュレーターの弱い風を直接ボトルに当てて内部に空気を送り込んでいる様子です。

※例えるなら金魚やメダカ、アクアリウム水槽の水作りのエアーポンプ(ブクブク)と同じ原理で微生物の為に空気を送り込んでいます。

クワガタの場合だとボトル容器に当たった風が上昇気流になって蓋の側面にある下向きの通気口から空気が入り込む仕組みです。

蓋を開けて行うと乾燥やキノコバエ発生の原因になるので、ガス抜き不要の無添加虫吉マットの場合だと蓋は、閉めたままで大丈夫です。

幼虫投入後も心配な場合や上に出てくる場合は、同じ様に3日ほど風を当て続けると大丈夫です。

サーキュレーター

基本的に飼育スペースの空気を流れを絶やさない為に常時サーキュレーターを用いた方がボトル内の酸素供給や室内の温度ムラ対策になります。

真冬の暖房使用時は、床に冷たい空気、天井に暖かい空気が溜まるので天井側(上)を向けて上下の空気を掻き混ぜる様にします。

サーキュレータを前向き

真夏の冷房使用時は、エアコンの真下から部屋の奥に冷気を送り出す様に前方に向けると良いです。

※左右に首振りを行うとお部屋の隅々に風が行き渡るので良いです。

サーキュレーターは、ホームセンターや家電量販店で安価で販売されていますで1台あると飼育に大変便利です。

サーキュレーション(空気循環)の必要性について>>

今回の本土ヒラタは、近日中に販売できると思います。

その他の産地では、宮崎、熊本、離島では屋久島と種子島産が初夏に羽化すると思います。

続きましては、コクワガタの仲間の大型個体を紹介したいと思います。

2021年3月羽化のヤクシマコクワガタ

こちらは、2021年3月中旬羽化のヤクシマコクワガタの大型のオスです。

屋久島に生息するコクワガタの亜種で赤みが強い体色の個体が多いのが特徴です。

三島やトカラ列島に生息する亜種に比べて光沢が無く、体全体が太く見えます。

昨年の夏に入荷した天然採集品のメスで産卵セットを組んで生まれた幼虫を育てて羽化させました。

詳しい産卵方法は、こちらをご覧ください。>>

ヤクシマコクワ52ミリ前後の尺寸の様子

先ほどのヤクシマコクワをノギスで尺寸した様子です。

52ミリを微妙に超えていますが、まだ体が少し柔らかいので硬くなって引き締まると51.9ミリくらいになるかもしれません。

飼育に関する情報は、下記のとおりです。

■飼育温度:エアコンを用いて20から22℃の一定。

■エサ交換リレー(菌糸→マットへの切り替え)

・1本目(2020年9月17日、二齢):クヌギ菌糸ビン550cc(現在は遮光クヌギ500cc

・2本目(2020年12月10日、終齢):無添加虫吉幼虫用マット※ボトルは550cc(現在は遮光ボトル500cc)

→3月上旬に既にサナギになっているのを確認したので3本目の交換無し。

菌糸ビンからマットへの切り替えの概要は、先に紹介した本土ヒラタを参考にしてください。

※550ccのマットボトルは、小さすぎて乾燥によるトラブルが発生しやすいので当店では販売しておりません。

550ccのボトルを使用される際は、木製マットプレスを用いて渾身の力でカチカチに詰め込んだ方が乾燥速度を鈍化させる事が出来ます。

◆昨年の後半より、人手不足による作業の合理化でオオクワマットではなく、無添加虫吉マットをコクワガタの飼育に使っております。

ところが半年で早期羽化した割に予想を遥かに上回る結果が出ていますのでギネス級も狙えるかもしれません。

これから色々な種類が羽化すると思いますので面白い情報があれば紹介したいと思います。