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マットに潜らない-サーキュレーションと微生物への酸素供給

カブトムシやクワガタの幼虫のマット交換を行ったら、「上に出てきた」「潜らない」というご報告を度々いただく事が御座います。

こういった現象の理由や改善策を説明します。

※当店の昆虫マットだけでなく、全ての幼虫用マットに該当します。

幼虫用マット

まず、昆虫マットには、幼虫の栄養源(主にタンパク源)となる土壌性微生物やバクテリアが沢山住んでいます。

幼虫は、マットの木屑に付着している菌糸だけでなく、目に見えないくらい小さな微生物も食べて栄養を吸収します。

クワガタやカブトムシの幼虫にも弱肉強食の食物連鎖が成立しています。

つまり、昆虫マット=生き物と言っても過言ではありません。

勿論、生き物なので酸素を消費して呼吸をします。

大きく育つマットは、微生物も豊富なので酸素の要求量も必然的に高くなります。

特に届いた直後や容器に入れた直後、温度変化など急激な環境変化が発生した際に微生物が過活動気味になって多くの酸素を必要とします。


初、二、終齢の幼虫

クワガタの初齢から終齢までの各ステージの幼虫の画像です。

生まれたばかりの初齢の頃は、数ミリの大きさでも二齢→終齢と脱皮を繰り返す度に見違えるように大きくなって行きます。

従って「初齢<二齢<終齢」と体が大きくなるに従って酸素の要求量が大きくなって行きます。


ボトルの終齢幼虫

上記の事から幼虫が潜らないというトラブルが発生しやすいのは、酸素の要求量が最も大きい終齢幼虫時のマット交換直後という事になります。

そこで下記の事を注意してください。


・到着したマットは、箱に入れたままにしない。(箱を開けるだけではダメです)

空気(風)の流れが遮られるので微生物が酸欠を起こします。

その状態で空気に触れると微生物が一斉に呼吸を開始して酸素不足に陥りますので幼虫も嫌がります。

なので原則としてマットや菌糸ビンは到着後に箱から完全に出していただく必要があります。

※ボトルを重ねて保管もしくは使用をされると酸欠を起こしやすくなるのでご注意ください。


・サーキュレーション(空気循環)の最重要性

前述のとおり、マットは生き物なので温度や発送時の環境の変化で一時的に不安定になりやすいです。

マットの土壌環境を整えるには、先ず微生物を安定させる事が最優先課題です。

実は、下記の事と同じ理屈です。

金魚の水槽

何故、金魚の画像?とお思いになられる方が多いかもしれません。

買って直ぐの金魚やメダカ、熱帯魚をいきなり新しい水に入れると微生物の環境が安定していないのでトラブルが発生しやすくなります。

なので事前にエアーポンプ(ブクブク)や生物濾過機(フィルター)で水中に酸素を送り込んで水作りをする必要があります。

幼虫のマットも同様に事前に微生物を安定させてから移し替えた方が圧倒的に落ち着きが良くなり、ストレスが軽減されます。

下記の方法でトラブルを防止、解決する事が可能です。

ボトルにサーキュレーターの風を当てる

画像の様にサーキュレーター(送風機)もしくは、扇風機の弱い風をボトルに3日ほど当ててから使用すると良いです。

参考画像なので至近距離になっていますが本数が多い時は、距離を空けたり、左右に首を振っても大丈夫です。

勿論、棚に並べた際は、上方向に向けても問題ありません。

※画像は、クワガタ用のボトルですがブロー容器やクリアボトルでも同じ方法で構いません。(カブトムシの幼虫のボトル飼育時も同様)

ボトル周辺に気流が発生する事で通気口から酸素が円滑に循環するので蓋を閉めたままで大丈夫です。

※フィルター(シール)を外したり、蓋を開けたまま行うと乾燥やキノコバエ発生の原因になりやすいので避けてください。

★交換直後に上に出て来て潜らない時も幼虫が入った状態で構いませんので同様の方法で3日ほど風を当てて様子を見てください。

飼育ケースにサーキュレーターで風を当てる

カブトムシの幼虫が潜らない場合は、画像の様にケースに向かってサーキュレーターの風を当ててください。

勿論、蓋を閉めたままで大丈夫です。

ケースの数が多い時は、左右に首振りを行っても構いません。

直接、ボトルやケースに何日も風を当て続けるとマットの乾燥が早まってしまう恐れがありますので幼虫を入れる前と後の合計1週間を限度に様子を見ながらストップしていただく事をお勧めします。

★上記の方法で潜らない場合は、「前蛹」と呼ばれる蛹の前段階の幼虫の可能性がございます。


■次は、飼育ルーム内の空気循環について説明します。

お部屋の中で滞ってしまった空気の層を動かす事が目的なのでボトルに直接風を当てる必要はありません。

※暖房時(冬)と冷房時(夏)で送風の向きが異なります。

サーキュレーターを上向きにする

暖房時は、天井付近に暖気、床下付近に冷気が溜まってしまうので風を真上に向けて上下の空気を掻き混ぜると室内に緩やかな空気の流れが発生しますのでボトル内への空気循環が円滑に行われます。

サーキュレーターを真っ直ぐに向ける

真夏の冷房時に天井を向けると暑い空気を攪拌してしまい冷房効率が落ちるので避ける必要があります。

そこでエアコンの真下から前方へ冷気を送り出すように真っ直ぐに風を飛ばすと良いです。

これだけで周辺の空気が動くのでボトル周辺に緩やかな気流が発生します。


なお、サーキュレーターは、ホームセンターや家電量販店で安価で販売されている物を使用しております。

以上が実際に、虫吉が行っている方法です。

幼虫を大きく育てる為には、ストレスを与えない事も重要です。

少しの工夫で劇的に改善しますので飼育の参考にしてみてください。